唐突ですがポケモンが好きです。幼少期を過ごした平成は今やレトロなんて言われてますが、人生のほとんどをポケモンと共に過ごしてきました。
大人になった今は旅行がポケモンと同じくらい人生に影響を与える趣味になりました。ポケモンと旅、意外と親和性あるんですよ。
ということでレジェアルの時はまるでともっこに憑りつかれたようにヒスイの考察をしたり、実際に北海道に足を運んだりしていましたが…。
今回は「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」におけるDLC「ゼロの秘宝」前編「碧の仮面」の舞台、「キタカミの里」にも想いを馳せてみたいと思います。
秋田出身の友人が興奮するキタカミの里
スペインを舞台にしているパルデア地方から、「碧の仮面」の舞台はキタカミの里へ。
カラフルな異国の町からよく見る日本あるあるなドイナカ地方の風景のギャップに驚いた方は私だけではないはず。
とは言え、日本らしい風景や「ぼくのなつやすみ」のようなのどかな雰囲気は不思議と心が落ち着きます。
登場するポケモンもアーボやらオタチやらコラッタやら「あるあるー!」な感じ。
けれど田んぼの中でヤンヤンマを見た時は、ポケモンの原案者・田尻智さんがポケモンを開発した原点として様々なメディアで語っていらっしゃる「昆虫採集などに夢中だった小学生時代の体験」を体現しているようでもあり、なんだかぐっと来てしまいました。※産経ニュースから引用)
ちなみに10年以上共にポケモンの歩みを追っている秋田出身の友人がいるのですが、曰く「プロパンガスの再現性が高い」とのことでした。これは笑ってしまう。
キタカミの里の食文化
寒い地域ならではの果物「りんご」
前置きはこの辺にして、今回は「キタカミの里」の作中にちりばめられた、本作の舞台と言われる東北地方との共通点を探りたいと思います。
(自然が多い、家の隣に蔵があるといった全国共通の「田舎あるある」ではなく、なるべくキタカミの里のモデルとなったと言われる東北地方との共通点や文化を探ってみたいと思います)
碧の仮面をプレイして、印象的だったアイテムのひとつが「りんご」ですね!
キタカミの里でもたくさんのりんごを生産していることが伺え、りんごを称した「アップルヒルズ」から、りんごの無人販売所までありました。
調べてみると、青森県に「アップルヒル」という名前の道の駅があるそうですね。
りんごと言えば青森県。農林水産省のデータでは、青森県がりんごの生産量日本一を誇るそうです。
キタカミの里が雪深い地域であるかどうかまでは自分がプレイした限りでは不明でしたが、りんごの生産量の多さについては青森県と共通する部分がありました。
ばばがヘラで盛ってくれる?「はなびらアイス」
キタカミの里はりんごのイメージが強かったのでプレイ前は何となく青森が舞台なのかな、なんて思っていましたが、オモテまつりの屋台を見て目を疑いました。
そう、「はなびらアイス」です。まさかの…!!
これはどう見ても秋田の名物「ババヘラアイス」。おばちゃんがヘラでお花の形に盛ってくれる、とても素敵なアイスです(秋田のアンテナショップなどにも既製品のカップアイスが売ってたりします)。
そんなはなびらアイスについて、作中の説明では「キタカミ産のミルクを使用している」とありました。
と言うと秋田もキタカミに入る…?妄想が広がります。
ともっこが平らげた「餅」はりんごに並ぶ特産品かも
米どころである東北地方。東北の名産品を語るには欠かせない「お米」にちなんだ食べ物も登場していました。そう、お餅ですね!
ゲームに夢中になるあまりスクショを忘れてしまったんですが、「ともっこ」の三匹がキタカミセンターで「キタカミもち」なる食べ物を振る舞われていました。
名前に地名が付いていることから、お餅ないしは原材料となるお米がキタカミで作られていたことが伺えます。
もしかしたらキタカミ街道沿いの田んぼで作られたお米かもしれませんね。
「キタカミそば」は見た目と香りにそそられるB級グルメ(かも)
オモテまつりの屋台では「キタカミそば」なるものも販売されていました。
※商品の説明に書かれた「メイラード現象」とは「食品に含まれている「アミノ化合物」と「還元糖」を加熱または合わせて保存することにより、結合・分解・酸化などの複雑な反応を繰り返して、茶褐色の物質「メラノイジン」ができる現象」とのこと(引用元)。何故急にそんな専門用語が…。
もしかしたら東北にもご当地グルメの焼きそばがあるのかな…?と思い調べてみたら、ありましたー!「横手焼きそば」!!秋田のB級グルメだそうです。
(※もちろん考察なので、違うグルメがモデルの可能性もあります)
引用元によると、「太くてストレートな角麺をキャベツや豚肉などと一緒に炒めた焼きそば」とのこと。ボリューム満点でお腹にもたまりそうですね。
キタカミの里特有の慣習・文化・方言など
「鬼」にまつわる昔話から考える伝承文化
キタカミの里には「鬼」にまつわる昔話が登場します。
「鬼にまつわる伝承の多さが東北地方と共通する」という考察もネット上で見かけました。後述するオーガポン(鬼)をはじめ、私もそれは同感です。
個人的な話ですが、東北地方と鬼、というキーワードで真っ先に思い浮かんだのは、明治時代に民俗学者の柳田國男が記した「遠野物語」でした。
こちらは現在の岩手県・遠野市の伝承をまとめた本です。青空文庫で無料で読めますのでぜひ。
なぜか私は大学時代めちゃくちゃ遠野物語が好きな学生でw、京極夏彦さんによる「遠野物語remix」とかも当時大興奮しながら読んでました 変な学生…👹
久しぶりにざっと青空文庫を読んでみましたが、「鬼」という直接的なワードは登場していないようですね。
ただオーガポンがそうであったように、「鬼」は「山の神」として例えられることもあり、そんな「山の神」に関する記載はいくつかありました。
また「遠野」の地名はアイヌ語を語源とする説があるようで、何となく作中でも描かれていたキタカミとヒスイ地方の関係性を感じます。
遠野物語はあくまで岩手県の伝承のみに留まりますが、他の地域(秋田や青森や)の昔話や伝承などを調べてみても面白いかもしれませんね。日本昔ばなしのアニメとかにもありそう。
余談ですが、青森の伝承をモチーフにした漫画のひとつに「千年万年りんごの子」という作品があります。
こちらは少し悲しい話ですが…東北地方を舞台に描かれる「神様」の神秘性、そして恐ろしさに触れてみるのも良いと思います。
オーガポンの「仮面」から考えること
オーガポンが大切にしている、ちょっと子供が怖がりそうなお面の数々は個人的にはやはり秋田県の「なまはげ」を彷彿とさせるものがありました。
斜め上の考察に思わずああー!!と声を上げてしまったんですが、オーガポン=男鹿、と考察している方もいらっしゃいましたね。かなり直接的な考察ですが、男鹿はまさしくなまはげ伝説が有名なエリアです。
そして今偶然見つけてしまったんですが、秋田には「なべっこ」という秋の行事があるそうですね。
なべっこ…ともっこ……「○○っこ」って、これ、東北地方の方言だったりしますか?
一方でテラスタルをした姿は、まるで青森のねぶた祭りのような華やかさでした。
戦闘BGMもまるで祭囃子のような雰囲気にドキドキしてしまう。ねぶた祭りにもいつかぜひ行ってみたいものです…!
スグリの方言とゼイユの美貌
碧の仮面の主要人物・スグリの特徴的な方言も印象的でした。
「わやじゃ(主にすごい/やばいなどの意)」「けっぱる(主に頑張るの意)」などなど、実際に東北地方に存在する方言のようです。
※東北のみならず、それ以外の地域でも使われている言葉もあるようです
個人的にはゼイユの綺麗な横顔にしばしば見とれていましたが、彼女の美貌も「秋田美人」を髣髴とさせるものがあるかもしれません。
「林間学校」を通して見つける、東北地方の魅力
ポケモンDLC「ゼロの秘宝」に登場する「キタカミの里」。
エリアを歩きながら色々と調べてみると、東北地方における様々な文化が融合した場所であることが伺えます(あくまで個人の考察です!)。
文化的な側面のみならず、東北地方にお住まいの方は、より東北「らしさ」を感じる要素があるかもしれません。
自分自身車が運転できないこともあり、なかなかこれまで青森や秋田を旅する機会がありませんでしたが、サザレさんのようにカメラ片手に東北の自然を見に行ってみたいなと思いました。
まだDLCを遊んでいない方も、ぜひパルデアとは全く異なる雰囲気のキタカミの里を訪れてみてくださいね。